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ドル円買い方

6月12~13日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、本年計4回の利上げ見通しが示されました。
米国の国内景気は好調で、利上げにより新興国から米国への資金流入が加速するとの見方もあるようです。
それなら、超低金利の日本円で資金を運用するより、ドルに換える方がよいのではないかと考える方もいらっしゃると思いますが、今後のドルをめぐる為替相場の展開はどうなのか、大変気になるところです。
そこでここでは、FX投資におけるドル/円の売買を中心に、今ドルを買うべきか、またドルの買い時はいつかについて考察いたします。

1 円安・ドル高でドルを買う場合のメリットとデメリット

相場が円安・ドル高基調か、逆に円高・ドル安基調か、あるいは横ばいのレンジ相場かの判断は、短い時間足だけを見ていてはダメです。
1~5分足でスキャルピングを行うのだったら、その上の1~4時間足などを見てトレンドがあるかないか、ある場合はどちら向きかを判断します。
5分足の画面では上昇トレンドにみえても、1時間足や4時間足でみると下落途中の戻り局面だったということがよくあります。
また、1~4時間足で数日間のスウィングトレードを行うのであれば、その上の日足などを見て判断します。
トレンドの判断は、長い時間足をみて判断するようにしましょう。

円安・ドル高基調の相場では、ドル/円を買いから入るのが基本ですが、買い場がどこでもよいというわけではありません。
買うタイミングを間違えると、損失を被る場合があります。

円安・ドル高でドルを買う場合のメリットとデメリット

 

メリット デメリット
・ドル/円上昇の波に乗り、大きな利益をあげる可能性がある ・ドル/円相場が天井を打ち、上昇から下降にトレンド転換する場合は、損失を被る可能性がある

・相場が上昇途中の調整局面に入る場合は、損失を被る可能性がある

 

 1-1 押し目買いがポイント

相場が上昇基調の局面では買いから入るのが基本ですが、ポジションを持つタイミングが非常に大切です。
結論から申し上げると、「押し目買い」に徹することです。
「押し目買い」とは、相場の上昇局面で一時的な調整のために押し目をつけたポイントを買う方法です。
上昇局面だからといって、やみくもに買っていたのでは、相場が調整に入る手前の天井で買ってしまう可能性があります。調整が終わって再び上昇に転じるまで、買いポジションを我慢して持ち続けることもできますが、再び上昇に転じる保証はないことに注意してください。
そのままトレンドが、上昇から下降に転換してしまう場合もあるからです。
したがって、上昇局面でも買い場を間違えたら、損切りするしかなくなってしまいます。
また、買い方は押し目の底を拾おうとするのではなく、サポートラインに跳ね返って底を打ったことを確認し、再び上昇に転じ始めるポイントを狙うのです。

ドル円の買い場の図

*白抜き矢印のポイントが買い場

2 円高・ドル安でドルを買う場合のメリットとデメリット

通常、円高・ドル安基調の相場では、ドル/円の買いはあまり行いませんが、特定の局面や取引手法に限ると有効な場合があります。

円高・ドル安でドルを買う場合のメリットとデメリット

メリット デメリット
・ドル/円相場が、下降から上昇にトレンド転換すると見極めることができる場合は、利益をあげる可能性がある

・スキャルピングなどの短期売買で、下降途中の戻り局面を捉えれば、利益をあげる可能性がある

・ドル/円下降の波に逆らった取引で、大きな損失を被る可能性がある

 2-1 トレンド転換を見極める

相場が、下降から上昇にトレンド転換すると事前に見極めるのは至難の業ですが、転換後であれば見極めることはできます。
相場の波が安値・高値の切り下げを脱し、安値・高値を切り上げ始めたのを確認できれば、トレンドが転換した可能性が高いため、買いポジションを持つことができます。

トレンドの買い場の図チャート

*白抜き矢印のポイントが買い場

 2-2 戻り局面を狙う

また、下降トレンドが続いていても、途中での戻り局面を捉えれば、危険ではありますが、スキャルピングなどの短期売買に限り買いが有効の場合があります。しかしその場合は、またすぐに下降の波に戻る可能性が高いため、素早い逃げが必要です。

下降相場のチャートの図

*白抜き矢印のポイントが買い場

1分足などを使ったスキャルピングの場合は、ローソク足1本が確定するまでの間、足が伸びたり縮んだりを繰り返すため、タイミングの計り方が一層重要になってきます。
伸び縮みするローソク足1本の中の買い場も、「押し目買い」と同じで、戻り局面だと判定したら下がりきったポイントを見極めてすくい上げます。

3 外貨預金でドルを購入するとあまりにも手数料が高い?

資金を外貨で運用する方法は、FXのほかに「外貨預金」があります。
FXは、少額の資金にレバレッジを効かせて大きい資金に変え、トレードを行う投資です。レバレッジは、現在国内では最大25倍となっています。
これに対して、外貨預金にはレバレッジの概念がないため、そのままの金額で預けることになります。わかりやすく言いかえると、レバレッジ1倍でFX取引を行うようなものです。
このように、外貨預金はFXに比べると安全性が高いといえますが、手数料はどのくらいかかるかみていきましょう。

 3-1 代表的な金融機関の外貨預金手数料

次に代表的な金融機関の外貨預金手数料をみてみましょう。

ドルの外貨預金手数料

金融機関名 1ドル当たりの手数料
住信SBIネット銀行 0.04円
ジャパンネット銀行 0.05円
ソニー銀行 0.15円
みずほ銀行 1.00円
三菱UFJ銀行 1.00円

 

(注)
・手数料は、2018年3月時点
・手数料は、ドルに変える時点と円に戻す時点でかかる

金融機関によって、手数料に大きな差があります。
例えば、1ドル=100円の為替レートのときに、100万円をドルの外貨預金に変えて、後でおろしたとします。
この場合、「住信SBIネット銀行」と「みずほ銀行」でどれだけの差が生じるのか計算してみましょう。
わかりやすくするため、預金利息や為替レートの変動はないものとします。

 

 

金融機関名 手数料 計算
住信SBIネット銀行 0.04円 ①1ドルを100.04円で買って外貨預金にする

預金額は、100万円÷100.04円=9996.0015ドル

②外貨預金からおろすときは、1ドルを99.96円で売る

9996.0015ドル×99.96円=999200.3≒99万9200円

 

100万円が手数料を差し引いて99万9200円になりました。

往復で、約800円の手数料がかかりました。

みずほ銀行 1.00円 ①1ドルを101円で買って外貨預金にする

預金額は、100万円÷101円=9900.99ドル

②外貨預金からおろすときは、1ドルを99円で売る

9900.99ドル×99円=980198.01≒98万198円

 

100万円が手数料を差し引いて98万198円になりました。

往復で、約19802円の手数料がかかりました。

 

上の表からもわかるように、外貨預金の手数料は、大手の都市銀行よりネット銀行の方が大幅に安いことがわかります。

4 FXでドルを買うと手数料が安い?

それでは、FXでドルを買うと、手数料はどのくらいかかるのでしょうか。
FXの場合は、スプレッド、すなわち買値と売値の差額が手数料に相当するものとなります。

 4-1 ドルの外貨預金手数料とドル/円のスプレッド比較

ここでは、前に調べた外貨預金の手数料とFX会社のスプレッドを比べてみましょう。

外貨預金の手数料とFX各社のスプレッドの比較

 

金融機関名 1ドル当たりの

手数料

1ドル当たりの

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スプレッド

FX会社
住信SBIネット銀行 0.04円=4銭 0.27銭 SBIFXトレード
ジャパンネット銀行 0.05円=5銭 0.3銭 DMM FX
ソニー銀行 0.15円=15銭 0.3銭 GMOクリック証券
みずほ銀行 1.00円=100銭 0.3銭 ヒロセ通商
三菱UFJ銀行 1.00円=100銭 1.0銭 外為オンライン

 

上の表をみると、FXのスプレッドが外貨預金の手数料に比べ、いかに安いかがわかりますね。

5 FXは安い手数料でドルを購入でき、より大きなリターンを得ることができる

これまでの説明で、FXのスプレッドが外貨預金の手数料に比べ安いことがわかりました。
ここでは、実際にドル/円を購入した場合に、外貨預金の場合とどれだけの差が開くか計算してみましょう。

 5-1 外貨預金より、レバレッジ1倍でFXを行う方が安く済む

金融機関の外貨預金手数料は片道の手数料で、預金するときとおろすときにそれぞれかかるため、前に記載した手数料の2倍になります。
一方、FXのスプレッドは、買って売る場合の買値と売値の差であるため、往復分の手数料に相当します。
往復とは、往路=ドル/円を買って、ドル/円のポジションを持つ
復路=ドル/円を売って、ドル/円のポジションを解消する
ということです。
1万ドル=100万円をドル外貨預金にして円に戻したら、手数料が最も安い「住信SBIネット銀行」でも、往復で約800円の手数料がかかりました。
これに対し、FXでは、スプレッドが狭いとはいえない「外為オンライン」でも、1万ドル=100万円を投資した場合、ドル/円を買ってその後売っても往復で100円のスプレッドで済みます。
スプレッドの狭さでは定評がある「SBIFXトレード」であれば、スプレッドはわずか27円です。

これでは、外貨預金をするくらいなら、レバレッジを1倍にしてFXを行う方が安全で安く済むといえそうです。
さらに、FXではレバレッジを効かせて自己資金の何倍もの投資ができるため、より大きなリターンを得ることができます。
ただし、リターンが大きいということは、それだけリスクも大きくなるため、十分な注意が必要です。

6 こんな時はドルを買うべき?こんな時はドルを買ってはダメ?

 6-1 ドルを買ってよい時期

結論から申し上げると、ドル/円を買ってよい時期は、「世界の政治・経済が順調かつ安定的に推移し、今後もしばらく大きな事件が起きないだろう」と考えられる時期です。
このような時期は、ニューヨークダウや日経平均株価が上昇し、それにつれてドル/円も上がる可能性が高いといえます。
日経平均株価が上がる見込みのときは、外国人投資家が日本株を大量に購入します。日本株を購入するということは、ドルを売って円を買うことになるため、逆に振られたときのためにヘッジ(保険)をかけます。すなわち、日本株購入と同時に円を売ってドルを買うのです。
したがって、ドル/円相場は上昇します。

逆に、為替相場が株価に先行する場合もあります。ドル/円相場が上昇すると円安になり、日本の輸出企業の国際競争力が高まります。反対に、日本の輸入企業にとって、円安は輸入原材料価格が上がるため打撃なのですが、日本の産業構造は輸出企業中心にできており、日経平均株価に占める輸出企業の割合も高くなっています。そのため、ドル/円相場が上昇すると、円安で国際競争力が強まった輸出企業が日経平均株価を押し上げるという構造です。

このように為替相場の中でも、ドル/円と日経平均株価は相関性があるのですが、世界・日本の政治経済情勢が安定し、株価も上昇基調にある場合に、ドル/円は上がる可能性が高いといえます。

 6-2 ドルを買ってはいけない時期

世界の政治・経済に大事件や異常事態が生じた場合は、安定通貨である信頼性の高い円が買われ、外貨が売られます。ドルも全世界的にみれば安定通貨なのですが、円の方がさらに信頼性が大きいといえます。
上で述べた「世界の政治・経済の大事件や異常事態」とは、戦争・テロ・貿易摩擦・政情不安などを意味します。
また、「世界の」の中には「日本国」も含まれ、例えば次のような事態が発生すると、ドル/円相場は下がりやすいと考えられます。
安倍内閣が倒れる
自民党が選挙で大敗する
自民党政権から他の党に政権交代が起きる
日経平均株価が大きく下げる
日本の経済成長に危険信号が灯るような大きな事件が起きる・・・

数え上げたらキリがありませんが、要は「有事の円買い」が起きるということです。
すなわち、上記のような際は、多くの投資家がリスクを嫌って円買いに走るため、ドル/円が売られてしまう可能性が高いといえます。

 6-3 FXは2通貨間の相対的な力関係

日本国内に有事がありドル/円が下がる場合でも、ヨーロッパ情勢の動きによっては、ドルのユーロに対する相対的価値が上がるケースもあり得ます。
FXは、ドル/円やユーロ/円など2通貨間の相対的な力関係で相場が動くのですが、ユーロ/ドルなど他の通貨ペアの力関係が影響を及ぼしてくる場合があるため、常に関連がある複数の通貨ペアを監視することが必要です。

7 今は、ドルを買っていいの?ダメなの?

為替相場の上下要因について説明してきましたが、それでは今、ドルを買ってよい環境にあるのでしょうか。

 7-1 ドル高に向けての環境は整いつつあるが

6月12日に開催された史上初の米朝首脳会談は、問題を先送りして具体的な成果はあまりなかった模様ですが、一応無事に終了し北朝鮮リスクは一歩後退したようにみえます。
また、6月12~13日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、利上げの決定は市場予想どおりだったものの、本年の利上げペースが年3回から4回に上方修正されました。
これにより、米国の金利上昇に一段と弾みがつき、ドル高への基本的環境が整ってきているとみられます。
わが国でも6月15日に日銀金融政策決定会合で、現在の金融緩和策を当面維持することが決定されました。
したがって、日米の金利差は大きく開いていく方向にあり、本来なら今がドル/円の買い時と考えられます。

 7-2 為替相場の先行きを不透明にさせる要因

しかし、ここにきて予断を許さない火種が起きています。
一つ目は米中の貿易摩擦問題です。
6月15日、トランプ米大統領が知的財産権の侵害を理由に、500億ドル(約5.5兆円)相当の中国製品に制裁関税をかけると発表し、これに対して中国も同規模の報復関税で対抗する方針とされています。
米国の制裁関税は7月6日に発動の予定ですが、その期限までに水面下の交渉がうまくまとまらなければ貿易戦争に発展する危険があります。
国内総生産1位と2位の米中両国がそのような事態に陥れば、日本を含めた他の国にも大きな影響が及ぶと予想されます。
ここにきてドル/円は、米中の貿易摩擦問題などの懸案のため相場の方向性が不透明になっており、この問題がはっきりするまでは、ドル/円が大きく上昇するとは予測できない状況になっています。

二つ目は、イタリアの政情不安を中心とするEU(欧州連合)の問題です。
イタリアの政治的混乱やユーロ圏離脱リスクを一因として、ユーロ相場の先行きが懸念されています。
今後、イタリア国内の反ユーロ・EU懐疑派の力が強まりユーロ圏離脱が現実味を帯びてくれば、そこを震源として為替市場に強い衝撃を与えかねません。

 7-3 中・長期投資は見合わせるのが無難だが、短期投資はやり方次第

以上のように、米中の貿易摩擦問題やイタリアの政治的混乱の先行きが見通せる段階までは、為替もどちらに転ぶか不透明になっているため、ドル/円の中・長期投資は当面見合わせる方が無難と判断されます。ただし、スキャルピングやデイトレなどの短期売買を中心に取引を行い、あまりファンダメンタルズの要素は考えずに、その日その日の値が動く方向に乗っていき、雲行きが怪しくなったらすぐに逃げるという手はあります。
また、イタリアの政情不安はすぐには解決しそうもないことから、ユーロ/ドルの売りを仕掛ける方法がありますが、直近で大きく落ちた後は巻き戻しも考えられるため、慎重さが必要です。

総合的にみて、ドル/円上昇の環境は整っているが、世界の政治・経済情勢に不穏な兆しが見えていることから、当面、本格的な取引は見合わせるのが安全と考えられます。

8 ドルを買うのに一番適した時期・タイミングはいつ?

前に説明したように、為替相場の先行きを不透明にさせる要因がなければ、ドル高基調となる環境が整ってきているとみられます。
しかし、一度有事が起きると、為替相場は波乱の展開をみせることがあるため、ここは慎重な見極めが要求されます。

まず、7月6日に予定されている米国の対中制裁関税に対し、2国間で打開に向けた水面下の交渉が持たれると思われることから、その進展を見守る必要があります。
また、前述したイタリアの政情不安や北朝鮮問題の成り行き、さらに日銀の金融緩和出口戦略などを総合的にみて、全体的にリスクが後退したと判断される時期がドル/円の買い時と考えられます。

9 まとめ

為替相場は、世界中の機関投資家や個人投資家に加え、輸出入企業などの実需筋が、様々な思惑を抱きながら売買を行っている修羅場であるといっても過言ではありません。
相場を動かす要因も特定のものではなく、多くの政治的・経済的・社会的な要素が絡み合って取引の方向性が決まります。
米中の貿易摩擦問題をはじめ前述した懸案事項は、今後著しい進展や予想外の展開をみせるかもしれません。
そのような場合には、決して慌てず、事態の推移や為替相場への影響を十分に見極めた上で、安全な投資を行っていただきたいと願っています。

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